【注意】オンサイトワーカーとしての自衛策|報・連・相・確認

アドバイス

IT系オンサイトワーカーとしてお仕事を始める際、まずはクライアントとの業務委託契約を締結することになります。
業務委託契約の内容はクライアント各社で細部が異なりますが、共通して「責任」について定める条項が存在しています。
概ね、下記の例のような内容です。

第N条(責任)
乙は業務の完了について責任を追うものとし、乙の責めに帰すべき事由により業務委託に
瑕疵がある場合には、乙の責任と費用をもって委託業務を完了させるものとする。

乙=ワーカーとして読み替えてください。
ワーカーのミスや確認不足などで作業が予定通り完了できなかった、あるいは不備があるため再対応が必要、といった場合に、追加の作業費無し、交通費等経費は持ち出しで再対応を行わなければならない、ということです。

自身の不注意等に由来するミスの場合はお詫びの上、契約通り再対応を行う他ありません。
ミスの無いよう、慎重に作業を行いましょう。

本稿では、「責任の所在が不明な瑕疵について、少なくとも自身(ワーカー)由来のものではないことを明らかにする」方法について考えていきましょう。

手順書の記載通り作業する

何はともあれ大切なのは、手順書に記載されている内容を、過不足なく実行することです。
手順書はいわば、エンドユーザー・クライアント・ワーカー間の「約束事」です。

手順書はクライアントが作成し、その内容についてエンドユーザーの了解を得たものです。
その上でクライアントは、「この手順書に基づいて作業を行う作業員を現場に手配します」とエンドユーザーに案内しています。
当たり前のことなので明示されることはありませんが、ワーカーが現場に訪問した時、エンドユーザーもクライアントも、「ワーカーは手順書通りに作業を進めてくれるはず」と思っています。
ですので、その前提と異なることを行ってはいけません。

手順書に記載のない事象が発生した時には必ず報告する

通常手順書には、「手順書に記載のない事象が発生した時に報告する」、クライアント担当者の連絡先が記載されています。
このような「手順書に記載のない事象が発生した時に報告する」ことをエスカレーションと呼びます。(略して「エスカレする」とも)

エスカレーションは事象発生後、できるだけ早く行うのが基本です。
ですがまずは落ち着いて、一旦状況を把握しましょう。
予期していないことが発生すると、やはり人は驚き、冷静さを欠いてしまいます。

「手順書に記載が無いと思っていたが勘違いで、手順通りの事象だった」ということもあり得ます。
「事象が起きる直前はどの手順を行っていたか」、「画面表示は遷移してしまったが、どのような表示がされていたか」など、エスカレーション時に報告するべき内容も確認する必要があります。

確認し、やはり手順書に記載が無い事象であることが間違いなければ、速やかにエスカレーションを行います。
即時性を重視し、エスカレーションは概ね電話で行われることになるかと思います。
口頭では説明が難しいこともあるかもしれませんが、なるべく詳細に、そして正確に報告しましょう。

エスカレーションを行うことで、クライアントが「知らなかった」ということを回避できます。

たとえ善意でも、勝手に対応策を実行しない

スキルの高いワーカーが行いがちなのが、手順書に記載のない事象が発生した時、「解決策がわかっていたので良かれと思ってそれを実行する」ことです。
記述の通り、「手順書の記載どおりに作業を実行する」前提で現場に入っている以上、善意による行為であってもそれはNGです。
自衛策という観点で言えば、「クライアントに何の相談もなく、勝手に手順書に記載の無い手順を実行すること」はかなりの減点対象です。

まずはエスカレーションを行って状況報告し、クライアントの判断を待ちます。
事象が過去、同様に発生しているようであればクライアントはどのように対処するべきか正解を知っているはずですので、何の心配もありません。
もしこの事象について適切な対処方法が確立されておらず、クライアントが困っている様子が見受けられた時、はじめて「提案」という形で解決策を伝えるようにしましょう。
その「提案」が採用されれば、クライアントの了解のもとでの解決策実施ということになり、仮に解決に至らない場合もワーカーの責任にはなりません。

まとめ

  • しっかりと確認を行い、手順書記載のとおりに作業すること
  • 報・連・相を徹底し、クライアントが「知らない」という状況を排除すること
  • 手順書に記載の無い手順を実施する場合には、必ずクライアントの了解を得ること

上記3点で、「責任の所在が不明な瑕疵について、少なくとも自身(ワーカー)由来のものではないことを明らかにする」ことができます。

まるで責任逃れのようにも感じられるかもしれませんが、クライアントとしてもワーカーのミス等が原因で無いとわかれば、原因究明・善後策検討を前向きに行えます。
ワーカーの行動に疑念が残る部分があれば、かえって「犯人探し」のような険悪な展開が始まってしまうでしょう。

報・連・相・確認を大切にし、まっとうに作業していれば怖いものは何も無いのです。

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