好まれるエスカレーションとは?|押さえておきたいポイント5選

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多くの場合、エスカレーションはイレギュラーな時に行われるため、一見ネガティブな印象がありますが、エスカレーションといういわばクライアントとのコミュニケーションを通じて、評価を高めるワーカーがいます。
クライアントから好印象のエスカレーション、そのポイントを押さえて実践していきましょう。

エスカレーションとは?

一般的なビジネスシーンでは、「上位の管理者に対応を仰ぐこと」といった意味で用いられます。
例えば顧客からのクレームがあった際に、権限のない部下では対応できないため、上長へその対応について相談し、指示を仰ぐことを「エスカレーションする」などと表現します。

IT系オンサイトワークの現場においては、作業中にマニュアル等で示されていた予定の内容ではない事象が発生した際、依頼元企業の担当者に対して、事象詳細の報告・以後の対応についての相談を行うこと、という意味で用いられます。
「エスカレする」というように省略して使用されることもあります。

クライアントからの好印象の5つのポイント

  • 時系列や起きた事象を正確に伝える
  • ミスの際には嘘・誤魔化しをしない
  • 回答に対して素直に対応する
  • 回答を急かさない
  • 私見を伝える、提案する

時系列や起きた事象を正確に伝える

多くの場合、エスカレーションを行う時は「事前に想定されていない何か」が起きた時です。
「手順書に記載されていないエラーが表示された」、「空いているはずのLANポートが使用されている」、「エンドユーザーの担当者が離席したまま戻らず、完了確認をして頂けない」などです。

そのような場面に出くわすと、驚いてしまい、また不安に駆られてしまい、すぐに指定のエスカレーション先に連絡してしまうことかと思います。
ですがこのような場面では一旦、落ち着いて状況を整理することが肝要です。

連絡した後には必ず、何が起きているのかをヒアリングされます。
その際に大切なのは「時系列や起きた事象を正確に伝える」ことです。

「手順のどこまで実施して、どのタイミングでエラー表示が起きたのか?」
「空いているはずのLANポートは手順書上は何番で、使用されているポートのケーブルは何に繋がっているか?」
おそらくこのような質問をされることでしょう。

この質問に対して不明瞭な報告を行うと、エスカレーション先からの回答を得られるまでの時間も伸びてしまいます。
想定問答を行い、確認やメモを終えてからエスカレーションすることを心がけましょう。

とは言え、エスカレーションは即時性も求められます。
確認やメモに費やせるのは5分といったところでしょうか。
それ以上は時間をかけず、速やかに連絡・報告を行うべきです。

ミスの際には嘘・誤魔化しをしない

手順書に記載の無い事象が自身のミス由来であると自覚がある場合、正直に報告しましょう。
叱責を恐れるあまり、正しくエスカレーションを行わないワーカーが一定数います。
中にはエスカレーション自体しない場合もあるようですが、これは論外です。

嘘や誤魔化しの報告を行って、独力で解決しようとするようですが、これははっきり悪手と言えます。
追加で何かしらの操作を行ってしまうことにより、状況が悪化してしまうことが多いです。
状況が悪化し、自身ではどうにもできなくなり、ようやくそのタイミングでエスカレーションした場合、確実に未報告や嘘が露見しますし、当然激しく叱責されます。
絶対にやめましょう。

そもそも、「想定外のことは起こる、ヒューマンエラーは無くならない」を前提に、エスカレーションという仕組みがあります。
ミスはもちろんしないに越したことはありませんが、ミスをすること以上に、ミスを隠したり誤魔化したりすることのほうが作業完遂の阻害要因になります。
ミスは正直に申告し、お詫びして速やかにリカバリー対応を行う方が、結局のところ作業が早く完了します。

回答に対して素直に対応する

エスカレーションを行い、何らかの回答を得た際に、「それは違うんじゃないか?」とワーカーが感じてしまうことがあります。
過去に同様の作業を行っていて、今回の事象も既知であり、以前はどのように対応したかまで記憶しているワーカーが、以前とは違う回答だった場合にはそう思ってしまうでしょう。
話しぶりや要領の得なさから、エスカレーション先の担当者が新人であったり不慣れな方であると察してしまう時も同様です。

そんな時、何か言いたくなってしまうのをグッと堪えて、まずは素直に対応しましょう。
特に見当違いの回答だった時、過去の成功例を知っている時がまさしくそうです。
素直に、そして速やかに回答の通りに対応します。
そうすれば、その方法では解決しないという事実を報告することができ、エスカレーション先の担当者に別の策を検討してもらえるようになります。

エスカレーション先からの回答に素直に応じる、ということはワーカーとしての自衛策に繋がります。
ワーカーの自己判断ではなく、クライアントの責任、判断による対応であるということが重要です。

また、後述の「私見を伝える、提案する」にも繋がってきます。
自我の表明は最終最後の手段です。

回答を急かさない

エスカレーションを行って、先方の回答待ちとなってから数十分待機、というようなこともままあります。
こんな場合も、とにかく我慢、ひたすら待つべきです。
待機はじれったいと思いますが、「回答まだですか?」などと何度もエスカレーション先に連絡することは控えましょう。

エスカレーション先ではこんなことが起きている

  • さらなる上位者に相談している
  • 過去、同様の事象がどのように解決されたか調べている
  • エンドユーザー担当者に報告しようとしているが、連絡が取れないでいる
  • 解決方法は明らかになっていて、その実行可否をエンドユーザー担当者に確認している
  • 即時解決が出来ないことが明らかになっていて、切り戻しや別日再対応の調整に入っている

当然ですが、エスカレーション先でも事象を解決するための行動を行っています。
もしかすると、エスカレーション先も待たされているのかもしれません。
そんな時、急かされて気分の良い人は誰も居ないのです。

ただ、この後に別な作業予定がある場合や、トイレに行きたくなった場合などはそれを理由に連絡してみましょう。
回答を急かすのではなく、あくまで別な要件での連絡、相談です。

私見を伝える、提案する

エスカレーションを行った後、エスカレーションとの複数回のやり取りを経て、毎度回答通りに素直に対応するも解決せず、エスカレーション担当者にもいわゆる「行き詰まった状態」が見て取れるようになって初めて、私見を伝えること・思い当たる解決方法を提案することを試みましょう。

同様の作業で同様の事象が起きた場合、以前どのように解決したかを記憶していれば、それはできるだけ早く伝える方が良いと思いがちですが、今回も以前と同様に解決できるかの保証はありません。
その事象が何度も発生し、毎回同様の方法で解決するのであれば、通常、まずは手順書にその事象について追記され、エスカレーションの必要なく解決出来るようになります。
他に、前職での経験、資格勉強での知識から、こうしたら解決するのでは?と考えるたことでも、やはり本当に解決出来るかはやってみるまでわかりません。

ですので、よほどその内容に自信があるにせよ、ワーカーからの進言、提案は最後の手段と思うべきです。
エンドユーザーから見れば、「依頼先はクライアントであり、事態を上手く収拾するべきなのもクライアント」と認識していますし、クライアントが主体であることは間違いありません。
できれば、主体であるクライアントに自ら解決方法を導き出して欲しいものです。
その上でなお状況が好転しないようであれば、クライアントを立てるよう「僭越ながら」の心持ちで進言してみましょう。

なおクライントによっては、「厚かましい」「出しゃばり」と思われてしまうことがあります。
このように捉えられると、折角の提案が通らないばかりか、ワーカーとしても気分が良いものではありません。
エスカレーション先の担当者の人柄などもよく見極めるべきです。

よく状況を鑑みて提案すれば、解決に至ればもちろん、解決に至らなくても協力しようとする姿勢を評価して頂けます。

まとめ

以上5つのポイントに気をつけながらエスカレーションを行うことで、クライアントからの評価は自ずと高まります。
クライアントからの評価を積み重ね、ある時からは指名を受けるようになり、安定して依頼を受託できるようになります。
多くのベテランワーカーはこのように現場経験値を高めることで、新たな案件でも優先的にアサインされたり、現場リーダーを任させるという好循環に至っています。

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